那那智山(なちさん) ── 標高966mに過ぎぬが、その頂きを成すは山ではなく 那智の大滝。落差133mの直瀑は、 水そのものを神体とする日本最古層の信仰形態を今に伝える。
伝承では仁徳天皇五年(四世紀)、 裸形上人(らぎょうしょうにん)が天竺(インド)から渡来し、那智の滝の下で千手観音の応現を見た ── これが 熊野修験の始まりとされる。
中世、 熊野詣では『蟻の熊野詣』と謳われ、上皇から庶民まで老若男女が殺到した。那智は 熊野三山(本宮・速玉・那智)の一角を担い、観音浄土への入口として広く信仰された。
那智の海岸からは 補陀洛渡海(ふだらくとかい)と呼ばれる行が行われた。僧が小舟に乗り、外から扉を釘付けされ、補陀洛山(観音浄土)を目指して南海に船出する ── 還ることなき入定であった。
十 界 修 行 ・ 六 根 清 浄
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※ 修験道は信仰の山。装束・作法・伝統を尊重しての登拝をお願いします。気象条件により登攀困難となる場合あり。
紀伊国の祖神を祀る二宮。
那智の滝信仰は熊野系であり、
古代国家の祖神を祀る日前・國懸とは別系統だが、
紀伊半島の精神圏を完結するため、共に詣でるべし。